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2023年1月3日火曜日

河野流:大学院進学のススメ

ご挨拶 

皆さん、こんにちは。東京情報大学の河野です。前回から1年半振りの更新となってしまいました。

大学では、4年生は卒業論文の追い込み、3年生は就職活動が始まる時期です。今年は河野ゼミ発足12年目で最初の大学院生3名がいよいよ修士論文をまとめようとしています。また、4年生のうち2名は大学院進学を予定しており、研究活動の進展を期待しているところです。

思えば、現在の修士2年の3名が進学しようか考えていたとき、10年振りくらいにネットワークゲームの研究を再開しようとしていました。「このテーマだと大学院でじっくりと3年計画で進めるのがよい」と話したことで、3名とも進学を決めたと記憶しています。

この時期に思うのは、「この学生は進学するといいのに。このまま卒業するのはもったいない」という学生が毎年必ず1人はいることです。本格的に卒論に着手して半年程が経った大学4年の12月頃に、研究の基本が身に付いてきてようやく使える人材になってくる印象です。そのまま就職してもある程度は活躍できるでしょうが、あと2年あればもっと成果が出るだろうにもったいないと思うことが多いです。そこで今回の記事では、大学院進学のススメをテーマにお話しします。


大学院とは?

大学院とは、学部卒業後さらに学問を究めるための研究を中心とした高等教育機関です。大学院でも単位修得のために授業はありますが、学会発表や論文投稿、学部生の指導などの研究活動が中心で、修士課程は2年、博士課程はさらに3年の研究期間で最終的に修士論文、博士論文をまとめます。

この記事の読者が大学院進学を少しでも検討している学生の皆さん、社会人で学位取得を目指している方、あるいは既に大学院を修了されて活躍している方と想定して話を進めます。最終的に進路を決めるのはあなた自身ですが、様々な情報を得た上で選択肢の一つとして進学を検討するのと、限られた情報の中で進学が選択肢から除外されるのとでは、進路選択の結果や数年後の納得感に違いが生じると思います。その積み重ねの結果によって、10年後、20年後の未来は随分と違ったものになるでしょう。

もしあなたが大学院進学を少しでも検討しているならば、ぜひ進学した先輩や大学の先生、大学院を修了した社会人の方に話を聞いてみてください。身近な友人や先輩、ご両親、大学のOB・OGなどの話も参考になる部分はあると思いますが、大学院の仕組みや研究生活を知らない方に聞いても、そのメリットを理解することは難しいと思います。

そもそも大学院に進学するメリットとは何でしょうか?あるいは、私を含め大学教員がなぜ口を揃えて優秀な学生には大学院進学を勧めるのでしょうか?

2021年6月6日日曜日

2021年の自己分析:研究のアウトプットを意識する

ご挨拶

皆さん、こんにちは。今年で無事に40歳になりました。

昨年の誕生日に更新すると言っておきながら更新できず、2年ぶりの更新となってしまいました。子供が生まれてからは毎日の過ごし方が一変し、時間を取ること自体が難しくなりました。特に生後半年くらいは、子育ての合間に仕事をしているような感じでした。

2021.6.6 由香と莉陽斗(1歳8ヶ月)と一緒に

これまでの振り返り1(社会に出るまでの幼少期~20代前半)

40歳となったことを機に、これまでの人生をざっくりと振り返ってみます。思い返すと、20代までは研鑽の時期、30代は地盤作りの時期でした。これからの40代は、研究アウトプットの時期となるよう精進します。

小学校から高校卒業までは、勉強(主に数学と読書)、ゲームや漫画などの遊び(ドラクエやジャンプ系の漫画が好きだった)、学校の友人関係(女子とはほとんど話もできなかったけど)、兄弟げんかで毎日のように親に叱られたことなどをよく覚えています。何をするにしても、なぜだろうとか、どうなっているのかなど、よく考えていたように思います。

その後、将来はゲームプログラマーになりたいと思い(ゲームプログラマー自体は中3からの夢で、中1の頃は科学者、中2では弁護士に憧れていました)、茨城大学の情報工学科に入学しました。大学では、毎日のようにプログラミングと山のようなレポート、数学の演習、試練の口頭試問があったことをよく覚えています。この時期に、基本的なプログラミングの考え方の他、技術文書の書き方、最後まで諦めずに課題に取り組む根性など、今日に至るまでの基礎が身に付いたのだと思います。

研究室配属後は、興味のある研究テーマ(ネットワークゲームにおけるリアルタイム性の課題)であったことや先生や先輩の指導が自分の性に合っていたのか、修士卒までの3年間は毎年3件ほどの学会発表(うち1件は国際会議)、1編の論文投稿など、精力的に研究活動に取り組んでいました。

これまでの振り返り2(大学教員になるまでの20代後半)

修士を出てからは、都内の企業に就職すると同時に、博士課程にも進学して、仕事と研究活動の両立を目指しました。週4日で都内勤務、1日は会社から休みをいただいて大学で研究するという生活を3年間送りました。就職先は、ネットワーク分野の研究開発を推進する企業で、IPv6の経路制御アプリ、IPv6啓蒙サイトの開発・運用、安心安全なメッセージングプラットフォームの開発などに関わりました。その他、会社の先輩に同行してカリフォルニアで開催されたIETF(インターネット上のプロトコルを議論する国際会議)に参加したり、大学時代の研究成果を自動車の衝突回避に応用できないかとパロアルトにある自動車メーカーの研究所に提案に行ったりもしました。技術的な面だけでなく、精神的な面でも現在の仕事にもつながる経験になったと思います。

博士3年のときには、いろいろと会社には無理も言ってお休みをいただき、何とか3年間で博士号を取得することができました。その後、4年間勤めた会社を退職してからは、大学でポスドクをしながら大学教員の公募にアプライしていました。運良く今の大学に採用してもらったので、そこから大学教員としての生活が始まりました。

これまでの振り返り3(大学教員として過ごした30代)

2011年に東京情報大学情報システム学科の助教として採用され、今年で10年が経過しました。10年間で2度の改組があり、現在は総合情報学科情報システム学系ゲーム・アプリケーション研究室の所属です。リアルタイムサイバーフィジカルシステムをテーマに、主体的な学修課題の選択を促す子ども向け学修支援システム、リアルタムWebゲームのデザイン基盤の研究を進めています。

情報大着任後は、まずは人脈作りから始めました。Twitterを使って興味のあった勉強会に参加したことをきかっけに、自身でも勉強会で講師を担当させてもらったり、知り合った方々が大学に来てゼミでお話してもらったり、学会での講演をお願いしたり、プライベートでも交流があったりと、10年経った今でも交流は続いているので、とてもよい機会であったと思います。

また、TwitterやFacebookなどで情報発信を続けるうちに、地域活動に取り組んでおられる方々の目に止まったことがきっかけで、千葉市花見川区の魅力発信プロジェクト「花見川どっとcom!」や同市若葉区の「わかばCBT こどものまち」、四街道市の「四街道こどものまちづくりプロジェクト」に関わったりと、ゼミの学生も巻き込んで関わる大事なつながりとなっています。当初は活動中心で稼働の割になかなか研究の成果につながらなかったのが悩みの種でしたが、活動と研究を結び付ける計画を創り上げることができ、「主体的な学修課題の選択を促進する子ども向け学修支援システム」のテーマで科研費を得て研究を進めることができるようになりました。これまではほとんど論文実績がありませんでしたが、少しずつ論文が書けるようになってきたので、着実に成果を積み上げていきたいと思っています。

2021年のバリュー、ミッション、ストラテジー

以上を踏まえ、2021年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。

  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. 計画的に研究を進めて論文実績を積むこと
    2. 家族が健やかに過ごせること
  • ストラテジー
    1. 論文を書く習慣を作ること
    2. プログラミングをする習慣を作ること
    3. 研究指導を主軸としたゼミ運営を実践すること
    4. 子育てを楽しむこと
    5. コロナ禍にあっても家族で経験できることを大事にすること
    6. 家族とのコミュニケーションを大切にすること
    7. チャレンジする気持ちを忘れないこと

バリューは同じですが、ミッション、ストラテジーともに前回からずいぶんと変更しました。仕事関係はよりシンプルにして、研究成果を最優先とするようにしました。家庭面では、今しか経験できないことを大事にして、皆が健やかに過ごせるように、自分自身でできることを模索したいと思います。7つ目のストラテジーは、すべての活動に関係するもので、チャレンジ精神を大切にしたいと思います。

参考までに、これまでの自己分析を示します。それでは次回もよろしくお願いいたします。

2019年の自己分析:研究活動と家庭生活のバランスを大切に

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

「穏やかに楽しく生きる」研究者のブログ開設

2019年5月29日水曜日

2019年の自己分析:研究活動と家庭生活のバランスを大切に

ご挨拶と喜ばしい出来事

皆さま、ご無沙汰しています。

毎年恒例の誕生日の自己分析です。今年で38歳になりました。自分を生み育ててくれた両親、家族、これまで関わってくださった皆さまに感謝しています。

図1.2018年8月27日,石川旅行での工芸体験

職場の大学の中では若手ではありますが(科研費も39歳以下は若手研究で申請可)、学位を取ってちょうど10年が経ちましたし、大学教員もすでに9年目となりましたので、自分のやるべきことを進めつつ、周りに対しても影響力を発揮しなければと思っている次第です。

着任当初から続けているこの自己分析も今年で9回目となりました。振り返りと目標設定、継続することはとても大切なのでこれからも続けたいと思っています。毎年の期首(誕生日)に掲げた目標を期末に振り返りますが、残念ながら毎回達成度はあまり高くありません。

ただ、今年は喜ばしい出来事があったので、それについて報告した上で自己分析を行うことにします。まず1つ目は、文科省の科学研究費補助金(科研費)に初めて採択されたことです。9年目の挑戦でようやく認められたことを嬉しく思います。次に2つ目は、奥さんが妊娠中で9月に子供が生まれる予定だということです。9年目で待望の子です。妊娠中の奥さんは何かと大変だと思いますが、無事に生まれることを祈るばかりです。

科研費のテーマ紹介ときっかけとなった出来事

今回の科研費では、「主体的な学修課題の選択を促進する子ども向け学修支援システム」のテーマで子ども達の未来を拓く研究となることを目指し、今後4年間の研究計画を立案しました。私の研究活動フィールドである地域活動やプログラミング教室にて、子ども達の学修活動データを収集・分析し、子ども達の志向・興味関心を見つけたり、オススメの課題を推薦したりできるシステムを構想しています(図2)。図2では、これまで携わってきたプログラミング教室や地域活動(IT大学、こどものまち)での学修活動自体をログとして蓄積し、主体的な学修効果を生み出すことを目的とした学修支援システムを開発します。

図2.子ども向け学修支援システムの全体像

毎年、科研費の申請書は10月下旬に提出しているのですが、今回はテーマも思い付かないので当初は申請自体を断念するつもりでいました。他大学の先生が申請された計画書に分担で入れてもらったのでそれでいいかなとも思っていました。そう考えて半ば諦めかけていたとき、奥さんから
「本当に出さなくていいのか?」
「今やっている活動をすべて書き出してみよ」
「そこから何ができるか考えよ」
と言われ、言われるがままに書き出してみました。そうすると、今まで自分自身では「何のためにこの活動をしているのだろう?」と疑問に思いつつも、漠然と続けていたすべての活動に対して、それらの意義を見い出すことができました。今回採択されたのは、結果的にそのことが評価されたことに加え、まだ実績はないものの審査員の方々からの「やってみなさい」という激励ではないかと思っています。

すべての活動は、子ども達の将来のため、そして我々人類の未来のための種蒔きであることが自分自身で得心が行きました。

2019年のバリュー、ミッション、ストラテジー

以上を踏まえ、2019年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. すべての活動の突端が子ども達の未来に集約されるよう研究を推進すること
    2. 主体的な家庭生活を送るために自身の役割を果たすこと
  • ストラテジー
    1. プログラミング教室や地域活動を通じて子ども達の学修活動データの収集・分析に専念すること
    2. ゲーミフィケーション × AI × ラーニングをキーワードに研究を進め、論文を書くこと
    3. ゼミでの教育は研究指導を主軸に実践すること
    4. 家庭生活の中で自身がやるべきことを考え行動すること
    5. 可能な範囲で朝活動へのシフトにトライすること
    6. 家族とのコミュニケーションを大切にすること
バリューは変わりませんが、ミッション、ストラテジーともに昨年から一新しました。やるべきことに集中するため、ミッションを3つから2つに減らしたことも大きな変化です。では、ミッションとそれに付随するストラテジーについて、私の考えを以下に述べます。

ミッション1:子ども達の未来のために

ミッション1、およびストラテジー1~3は、教育研究活動を中心とする仕事面に関する目標です。科研費で示した計画に従って、着々と研究の準備を進めています。研究初年度の今年は、各種活動での学修活動データを収集するために、子どもの発達段階に応じた質問項目を決定し、データ収集・分析を行う予定です。実は、研究の進め方や準備について考える際には、自分が書いた科研費申請書をもう一度読み返すことにしています。読み返す度に、なるほどなるほど!と思ったり、よく書けた文章だなと思ったりします(自画自賛)。学生にもこの申請書を読ませてレポートを課していますが、私くらい熱心に読み込んでくれる学生がいると嬉しいですね。

河野ゼミでは、今年から「ゲーミフィケーション × AI × ラーニング」を研究キーワードとして、各種活動を進めることにしました(図3)。ゲーミフィケーションとは、現実世界の課題をゲーム化し、解決する手法のことです。私達が開発するシステムは、人の主体性を拓くもの、他者と目標を共有し切磋琢磨を促すものが中心となるため、利用者のモチベーション維持や成長の可視化などが課題となります。それらの課題を支える仕掛けとしてゲーミフィケーションの考え方が活用できると期待しています。

図3.河野ゼミの教育・研究方針2019

これまで、ゼミの学生に対する指導については、如何にしてプログラミングの素養を身に付けさせるか、毎日ゼミ室に来させるか、論理的な文章を書けるようにするか、などに注力して指導を心掛けてきました。この方法だと、指導側の時間ばかり掛かるだけでなく、肝心の研究内容に関する指導が疎かになってしまいます。今後は、研究指導を主軸とした教育を実践することで、研究活動の進展に加え、学生達の主体性や研究に向き合う姿勢などが醸成されることを期待しています(図4)。

図4.研究指導を主軸としたスケジュール

ミッション2:主体的な家庭生活のために

ミッション2、およびストラテジー4~6は、家庭生活に関する目標です。子供が生まれることもあり、これまでよりも主体的な家庭生活を送るために自分自身の役割を果たす必要があります。妊娠中の奥さんの様子を窺うと、日によって体調に大きな波があったり、長時間立っていることができず休み休みであったり、前学期中は続けている仕事がつらそうだったりと、その日毎にサポートしたほうがよいことに変化があります。毎日の洗い物や料理(ごくたまにですが)、ごみ捨て、掃除、買い出しなどの家事の他、妊婦健診の付き添い、パパ・ママ教室の参加など、家庭生活や出産準備に向けて必要と思うことを考えて、できる限りやるようにはしています。

特に出産準備に関しては、父親側は身体の変化もないことから、父性の意識変化がなかなか見られないとも聞くので、妊婦健診を一緒に受けて赤ちゃんの様子を知ることはとても大切なことだと感じました。パパ・ママ教室で学んだことを踏まえ、出産直後は奥さんの身体が思うように動かないはずなので、少しだけ仕事の休みをもらって、生活のサポートをしたいと考えています。仕事柄、育休取得は難しいと考えているのですが、少なくとも職場の規定で定められている範囲での休暇は取得するつもりです。授業を共同で担当する先生方には、事前に状況をお伝えして協力していただけるようお願いしたいと思います。また、ゼミは学生主体で進められるよう指導しておきます。

生活リズムに関して、ここ最近は特にこの傾向が顕著なのですが、夜中に仕事や他のことをして本当に寝るのが深夜または未明になってしまっており、このままでは健康が損なわれる恐れがあります。どの道、お酒を飲んだ後は頭が使い物にならないはずなので、そういう日は早く寝てしまって、早朝にやることをしたほうが効率がよいのでは?と知人からの指摘を受け自分でもそう感じています。論文執筆とか趣味のゲームとか、本当にやりたいことを朝一に持ってきて、朝活動にトライしたいと考えています。

最後に、今は妊娠中の奥さんと今まさに頑張って生まれてこようとしている私達の子供、子供が生まれてからは家族3人でのコミュニケーションを本当に大切にしたいと思っています。家族とのコミュニケーションは、生まれてくる子供の健全な成長に不可欠ですし、ここでのコミュニケーションなくして、ほかでのコミュニケーションがうまくいくはずがありません。7つの習慣で説かれる「まず理解に徹し、そして理解される」は、コミュニケーションの基本であり極意です。この習慣は、スティーブン・コヴィー博士が最も実践が難しい習慣だと言っていましたし、私もそう感じています。家族とは、最も身近にいる他者であり、本当にその人のことを理解するのは真に難しい課題と思いますが、人生において最も重要な課題の1つであるようにも思います。

以上が2019年の自己分析です。研究活動と家庭生活のバランスを大切にしたいと思っています。上記のバリュー、ミッション、ストラテジーに基づき、「穏やかに楽しく生きる」を実践したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

以下にこれまでの自己分析を示します。

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

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2018年12月3日月曜日

7つの習慣 ソーシャル輪読会:最終回のテーマは「刃を研ぐ」

皆さん、こんにちは。朝晩が随分と冷え込むようになり、もうそこまで冬が来ている実感がありますね。

さて、この時期の大学では卒論が佳境に入り、卒論中間発表や卒論初稿の提出&レビューを実施していますが、まだシステム開発が終わっていない学生も多いようです。一方、3年生は卒論テーマ決定のための卒論計画発表、卒論序論の執筆、就職活動の開始と自らの道を切り拓くため、進むべき方向を定めて歩み始めなければなりません。

1.7の習慣 ソーシャル輪読会

このようなターニングポイントとなる時期に差し掛かる中、徳本昌大さんのご講演をきかっけに7月の計画・準備を経て、8月から開始した「7つの習慣 ソーシャル輪読会」に3・4年生5名のゼミ生が参加してくれました(図1)。全8回4ヶ月に及ぶ輪読会も、いよいよ今回で最終回を迎える運びとなりました。最後まで付いてきてくれたゼミ生5名、きっかけをくださった徳本さん、輪読会にてコメントをくださった岡さん、そして毎回質の高い記事を書いてくださった坂本さんに感謝いたします。ありがとうございました!

ソーシャル輪読会最終回(12/6開催予定)は、私も含め第7の習慣「刃を研ぐ」についてブログを書き、みんなで集まってディスカッションすることにしました。

図1.ソーシャル輪読会の様子 ※ 静止画なのでクリックしても再生しません。

2.第7の習慣「刃を研ぐ」とは?

『7つの習慣』とは、人生の長期的な視点を見据え、人が主体性を発揮するための道標となる考え方としてスティーブン・コヴィー氏が提唱した人生哲学です。7つの習慣では、人が依存から自立することを「私的成功」、自立した人同士が相互依存することを「公的成功」とよび、それぞれ第1~3の習慣、第4~6の習慣を身に付ける必要があるとされています。

最後の第7の習慣「刃を研ぐ」は、長期的な成果を得るために、再新再生を続けて自分自身を磨くことであり、すべての活動の礎となるとされています。そのためには、以下の肉体・知性・社会情緒・精神の4つの側面をバランスよく磨く必要があります(図2)。
  • 肉体:食事や運動、睡眠、時間管理などの生活習慣全般
  • 知性:知識やスキル、考え方などの知的活動能力
  • 社会・情緒:人間関係や人脈作り、貢献などの他者との関係構築
  • 精神:価値観、人生の目的などの自分自身のあり方
これらの側面は、自分自身の強みや専門性、オリジナリティとなるもので、自分という個を定義するための拠り所であると言えます。アドラー心理学で言うところの「貢献感」を得るためには、他者に対して自分が貢献できる何かを絶えず磨く必要があるでしょう。
図2.刃を研ぐ4つの側面


3.これまで研いできた刃

では、私がこれまでどういった分野で刃を研いできたかを振り返りたいと思います。

  • 高校時代:数学
  • 大学(研究室配属前):数学, プログラミング, 論理的思考, 情報工学
  • 大学(研究室配属後)と大学院:オンラインゲーム設計開発, 並列分散処理, ディスカッション, 論文執筆, プレゼン
  • 会社員:チーム開発, サーバ運用, ネットワーク, データベース, Webシステム
  • 研究員:ソーシャルメディア, ソーシャルアプリ
  • 情報大:ソーシャルメディア, パーソナルブランディング, ライティング, 学生指導, キャリア教育, 7つの習慣, 主体性開発システム, ポジティブ心理学, アクティブ・ラーニング, 自律分散協調システム, プログラミング教育, 地域活動

これまで研いできた刃を見ると、前半時代は数学やプログラミング、情報工学などのエンジニアに必須とされるスキルを磨いてきました。その後、研究活動を開始してからは、自身の研究に対する意味付けやそれを実現するための活動(システム開発)、成果を論文としてまとめ学会でプレゼンするといった活動を通じて、研究遂行能力を身に付けてきました。ただし、この時点では他者との関わり方はあまり意識していなかったので、私的成功に至るまでの段階にいたと思います。

その後の後半時代になると、学生指導のウェイトが非常に大きくなったことで、いかにして自身の負担を少なくして、学生によりよい教育を提供できるかを苦心するようになりました。悩んだ末に、パーソナルブランディングやキャリア教育、主体性開発などの学生指導に直結しそうなテーマに取り組むようになりました。この時期は、元々の専門であったITそのものからは少し離れ、ソーシャルメディア活用や人脈作り、人生哲学、心理学などに興味を持っていた頃でした。この頃は、私的成功はある程度は身に付けつつあり、公的成功に至る道程を模索していたように思います。

その後、研究活動や学生指導に行き詰まりを感じるようになり、今後はどのような刃を研いでいくかを考えるようになりました。そのため、自身の専門となる「旗」を上げる必要があります。

4.これから研ぎたい刃

以上を踏まえ、これから研ぎたい刃についてお伝えします。

  • やりたい活動の朝化(肉体)
  • 子ども向け教育システム(知性)
  • 機械学習とデータベース(知性)
  • 第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」の実践(社会・情緒)
  • 第6の習慣「シナジーを創り出す」の実践(社会・情緒)
  • リベラルアーツに対する理解と研究との連携(精神)

まず肉体面からです。こういったブログもそうですが、論文執筆や研究、趣味などの自分がやりたいことを朝一に持ってくるようにしたいです。元々夜型で早起きは苦手ですが、やりたいことがあれば早く起きてやれるのではないかと目論んでいます。

知性面では、自身の専門となる研究の柱を立てます。これまで迷走していた感がありますが、今年11月に来年度の科研費獲得に向けた研究計画書をまとめたことで、ようやく自分自身がやるべき研究の方向性が見い出せました。研究テーマとする子ども向け教育システムとその学習履歴を分析するための機械学習やデータベースに関する知識・スキル・実行力を身に付けます。

社会・情緒面では、家族、学生、大学の同僚、学外の研究者、企業の方々との良好な関係構築を目指して相手の考えや価値観などを理解することに努めます。例えば現在は、学外の研究者との共同研究に向けて情報交換や役割分担などを相談しているところです。その中で自分が貢献できるように、自身の強みを高めるとともに、主体的に関わっていきたいと考えています。その結果、新しいシナジーが生まれることを期待しています。

最後の精神面については、自身の視野を広く持つための考え方として「リベラルアーツ」の基礎を身に付けます。現在取り組んでいる研究テーマが学際的であり、多様性を重視していることもあってリベラルアーツに興味を持ちました。リベラルアーツでは、あらゆる学問は1つの幹でつながり、それぞれの学問体系が枝や葉になっていて、すべての本質は通ずるという考え方があります。多様な価値観をもとに問題解決に向けて取り組むあたりの考え方は、国連が提唱する2030年までの持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」とも本質的な部分では似ているように思いました。今後は、「リベラルアーツの学び方 」に書かれたことを踏まえ、いくつかの教養を学びたいと思っています。

5.まとめ
今回はソーシャル輪読会の最終回にあたり、これまでの活動を振り返った上で、私自身の経験をもとに7つの習慣を再度確認しました。自分自身の棚卸しをして、次の計画を練ることは、まさしく7つの習慣における再新再生であり、自分自身のメンテナンスとしてよい機会と思います。

今回改めて実感したことですが、これまで自分がやってきた活動を無駄と言ってしまうのは簡単ですし、そう言えば少しは気も晴れるかも知れません。しかしながら、その活動に意味付けをするのはあなたにしかできません。自戒も込めて言いますが、ぜひ皆さんも自分自身の活動に意味付けをして、新しい自分を創っていってください。きっとできます!

2018年5月29日火曜日

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

皆さん、大変ご無沙汰しております。

1年振りの更新となってしまいました。今年で37歳になりました。そう言えば、法律上は誕生日の前日に年を取るみたいですよ。学年で言えば、4月2日~翌年4月1日生まれまでが同じ学年なのは、年度内で同じ年齢の人達をまとめるためでしょうね。いずれにしても誕生日を迎えられるのはよいことですね。自分が生まれた日ですし、お母さん(お父さんにも)に感謝する日でもあります。

図1.2018.3.22 食事会@新浦安にて

毎年恒例の自己分析も今年で8年目です。例年だと昨年の振り返りと今年の自己分析を行うのですが、今回は昨年の目標がほとんど達成できていません。この4月にゼミの組織体制を変更したこともあり、現在は経過観察中のため、今年の目標は昨年を踏襲したものとします。

2018年のバリュー、ミッション、ストラテジー

昨年を踏襲して、2018年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. 行動規範:自分にしかできないことに専念すること
    2. 研究方針:IT×地域×教育のテーマで論文を書くこと
    3. 関係構築:積極的に権限委譲をすること
  • ストラテジー
    1. 自分の直感に従い、大事だと感じたことを実践すること
    2. 節目節目での大事なメッセージをブログに書くこと
    3. 効果測定のための実験計画と評価方法を計画的に検討すること
    4. アイディア→論文執筆→研究の順で進め、成果を論文投稿すること
    5. ゼミ長・副ゼミ長を軸に組織を編成し、ゼミ生に役割と権限を与えること
    6. 家庭生活を大切にすること
バリューは変わりませんので、ミッションを昨年と同様に、行動規範、研究方針、関係構築の3点に絞りました。では、それぞれのミッションについて振り返りながら、今年の目標を掲げます。

ミッション1:行動規範

ミッション1の行動規範では、昨年に引き続き自分にしかできないことに専念することを重視します。そのために、自分の直感に従って大事だと感じたことを実践します。前回は「インタラクティブ・ティーチング」を大学で広めるための有志の「アクティブ・ラーニング勉強会」を開くと宣言していましたが、残念ながらまだ実現はできていません。今年の目標は、まずは1回目の勉強会を開催することから始めます。

また、昨年はこのブログから節目節目でメッセージを伝えることを宣言していましたが、1年間発信がありませんでした。自分に向き合う時間とそのアウトプットに時間を取ることがあまりなかったようです。これまでの記事の蓄積はあるので、リブログのように適宜参照しながら、自分の考えが変化したり視点が追加されたりしてアップデートがあるものを中心に考えをブログにまとめるのがよいと思っています。

ミッション2:研究方針

ミッション2の研究について、昨年目標とした「アイディア→論文執筆→研究」を十分に実践することはできませんでした。国際会議での発表が1件(もう1件ありましたが、学内行事と重なりキャンセル)で、論文投稿には至りませんでした。昨年投稿しようとしたネタをある程度まとめて、大学紀要には何とか投稿したところです。ゼミのプロジェクトで進めているテーマが3つあるのですが、いずれも進捗が微妙で学会発表さえなかなかできていません。周りの先生方からは、一人でコツコツと進められるテーマを持つようにとも言われたことがあるので、それを見つけて深掘りできればと思っています。

ミッション3:他者との関係構築

ミッション3の関係構築では、昨年に引き続き積極的な権限委譲に努めます。今年度のゼミでは、ゼミ長・副ゼミ長を軸として、ゼミ組織を編成しました。ゼミの組織図を図2に示します。具体的には、指導教員の下に教育研究課と学生生活課の2つの課を設置し、それぞれゼミ長、副ゼミ長を責任者(=課長)としました。

それぞれの課の配下には4つの係があり、各係に実際の作業を任せるようにします。何か問題が発生したり円滑に進行しなかったりした場合は、ゼミ長や副ゼミ長がそのフォローに回るという構図です。指導教員は、ゼミ長・副ゼミ長に対する指導や何か問題が発生した場合の対応に注力できればと思っています。この結果は、次の機会に報告できればと思います。

図2.ゼミ組織図

また、毎年妻からは家のことがあまり書かれていないと言われており、今回もあまり書けてはいません。ただ、生活の中心は家庭であり、家のことができていないとすべてのことがうまく回る訳はないと思うので、そこは大切にしたいと思っています。

今回のテーマである「権限委譲」は、すべての関係者が当事者意識を持ち、主体性を持って関わることであると考えています。普段学生に言っていることを、我が事として捉えて家の物事にあたれればと思います。

以上が2018年の自己分析です。これまでの自己分析を以下に示します。このバリュー、ミッション、ストラテジーに基づき、「穏やかに楽しく生きる」を実践していければと思っています。それでは、これからもよろしくお願いいたします。

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

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2017年5月29日月曜日

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

皆さん、こんにちは。

本日の誕生日で36歳になりました。毎年恒例の自己分析も今年で7年目です。昨年の振り返りと今年の自己分析を行います。

2016年9月6日 オーストリア・ウィーンにて


2016年の振り返り

自己分析について

まずは、昨年の自己分析(参考:2016年の自己分析:自分の軸を大切にする)を振り返ります。

毎年、バリュー(価値観)、ミッション(使命)、ストラテジー(戦略)の3つの軸で自己分析を行っています。昨年掲げたものは以下のとおりです。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. 自分にとって清々しい行動を選択すること
    2. 3つのプロジェクト研究それぞれで成果を挙げること
    3. まず相手のことを理解し、相手と自分が利する案を考えること
  • ストラテジー
    1. 自分の直感に従って行動すること
    2. ゼミの学生とともに月イチチャレンジに挑戦すること
    3. プロジェクト研究のチーム作りを大切にすること
    4. アイディア→論文執筆→研究の順で進め、成果を学会で発表すること
    5. 授業やゼミに参加した学生が持ち帰ることのできる何かを提供すること
    6. 年間50人を目標にタロットを見て、相手の考え方を知ること

2016年5月29日日曜日

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

皆さん、こんにちは。

本日2016年5月29日で35歳になりました。お祝いのメッセージをお送り頂いた皆さま、これからお祝いしてくださる方々、どうもありがとうございます!

さて、毎年恒例で行っている自己分析も今年で6年目です。例年通り、昨年の振り返りと今年の自己分析を行います。

2015年9月1日 北海道小樽にて

昨年の振り返り

まずは、昨年の自己分析(参考:2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ)を振り返ります。

毎年、バリュー(価値観)、ミッション(使命)、ストラテジー(戦略)の3つの軸で自己分析を行っています。昨年掲げたものは以下のとおりです。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. 地道にコツコツと研究を進め、論文投稿すること
    2. 心身の健康に留意して、日々の活力を充実させること
    3. 大切な人達の声に耳を傾け、相手が大切にすることを自分も大切にすること
    4. 研究活動を通じた教育を実践し、学生とともに成長できること
  • ストラテジー
    1. 丹念に現象を観察し、研究に必要なデータを収集すること
    2. 人や地域、組織などの社会的課題に対して、ITによる解決策を着想すること
    3. 適正な食事量を意識して、栄養・体重管理に努めること
    4. 自分の心と身体の平穏のための運動を心掛けること
    5. 相手の話を最後まで聞き、相手の人となりや考え方を理解すること
    6. 相手と自分の価値観を見極め、相乗効果を探ること
    7. 在り方(Being)に対する問い掛けを意識し、学生の主体性を育むこと
    8. 学生指導を通じて、自分自身の専門性を高めること

2015年8月15日土曜日

オープンキャンパスが学生指導にもたらす効果

皆さん、こんにちは。

今年の夏は暑い日が続いていますね。大学では、あと1ヶ月ほど夏休みです。夏休みは、自身の研究を進めるとともに、後期の授業準備を行う大事な時期でもあります。

この時期は、各大学でも受験生獲得のため、盛んにオープンキャンパスが開催されています。情報大のオープンキャンパスは、7月18日(土)、8月1日(土)、2日(日)の3日間で開催されました。



2015年5月29日金曜日

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

皆さん、こんにちは。

本日、2015年5月29日で34歳となりました。お祝いのメッセージをお送り頂いた皆さま、これからお祝いしてくださる方々、どうもありがとうございます!無事にここまで生きて来られたことに感謝しています。

さて、毎年恒例で行っている自己分析も今年で5年目となりました。今回は、昨年の自己分析を振り返った上で、今年の自己分析を行います。

Salerno, Italy, September 12, 2014. 

昨年の振り返り

まずは、昨年の自己分析(参考:2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する)を振り返ります。

毎年、バリュー(価値観)、ミッション(使命)、ストラテジー(戦略)の3つの軸で自己分析を行っています。昨年掲げたものは以下のとおりです。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    • 研究者として、計画的に研究成果を論文として発表すること
    • 教育者として、研究活動を通じた切磋琢磨の場を学生に与えること
    • 家庭人として、自分と家族が心身とも健康に過ごせること
  • ストラテジー
    1. 研究成果を定期的にまとめ、年間3本以上の論文投稿を行うこと
    2. 新規性の高い研究テーマに集中し、学会発表を積極的に行うこと
    3. 河野ゼミの目指すべきビジョンを学生に示すこと
    4. 学生が興味を持てるような研究テーマに導くこと
    5. 定期的な運動習慣を持ち、健康維持に努めること
    6. 適切な飲酒量を心掛けながら、好きなワインは愉しむこと
    7. 重要事項を優先し、すべきでないことには"NO"と言うこと

2014年9月26日金曜日

FD推進ワークショップでの学び

皆さん、こんにちは。そろそろ夏も終わり、少しずつ秋の様子に変わってきます。

季節の変わり目は体調を崩しやすい時期です。特に夏から秋は一年の中で最も気温の変化が大きいと言われていますので、皆さんも体調には十分にお気を付けください。

今回は、8月8日~9日に行われた私立大学連盟主催の新任教員を対象としたFD研修ワークショップでの学びをお伝えします。当日の様子は私のFacebookにも公開しておりますので、もしご興味がありましたらご覧ください(参考:2014年8月8-9日 FD研修@浜松)。以下は提出した参加者レポートです。

はじめに

本ワークショップでは、大学教員の職能や各種ポリシーの理解、模擬授業を通じたグループでの学びあい、グループ討議での教育に対する意見交換が行われた。今回は、大学教員の職能、模擬授業、グループ討議で得られた知見、今後の展望について報告する。

図1.FD研修ワークショップの全体説明

大学教員の4つの職能

大学教員の職能には、①教育、②研究、③管理運営、④社会貢献の4点が挙げられる。今回のFD研修は、①の教育に関するスキル向上を目指した取り組みである。

上記職能は、いずれも大学教員として必須ではあるが、大学の状況や自身の職位などによって重視すべき項目は異なる。若手であれば研究や教育が重視され、学科長や教務委員長など役職付きでは管理運営や社会貢献が求められる。私の場合は、教育や社会貢献に多くの時間を費やす一方、いつの間にか研究の優先順位が下がってしまったことを感じている。研究成果を挙げるため、時間の使い方改善や教育の質向上を図ることで、研究を円滑に進めたい。研究活動を通じた教育、研究成果の教育への還元は、重要な課題である。

模擬授業

模擬授業の準備として、①導入、②展開、③結論の流れを示す模擬授業ワークシートを作成した。今回は、担当授業の「情報リテラシーⅡ」をベースに、ソーシャルメディアの便利な点、気を付けるべき点について、グループでディスカッションを行った。導入がよかったのか終始和やかな雰囲気で授業を進めることができ、参加者の理解も深まったように思う。改善点としては、「もう少し板書を綺麗に書く」、「声の抑揚を意識する」といったアドバイスを頂いた。今後の参考にしたいと思う。15分間という短い時間での授業であったものの、グループメンバーにも恵まれ大変有意義な経験となった。

図2.模擬授業の様子

2013年3月28日木曜日

【卒業生へのメッセージ】社会に貢献すること

この春卒業される学生の皆さん

ご卒業おめでとうございます!これから一人の社会人として、いよいよ社会の大海原へと船出する皆さんのご活躍を楽しみにしています。陰ながら社会に貢献できる人材へと成長されることを応援しています。


今回は、私が社会人となった時のことを少しお話しさせてください。
ちょうど7年前、大学院修士卒でインテック・ネットコアという会社に就職しました。当時、就職と同時に博士課程への進学という私の「挑戦」に対し、社内の皆様方のご理解、様々な局面でのご支援を頂いたこと、とても感謝しております。その節は本当にありがとうございました。

さて、入社した当日に社長から次のような問いがありました。
『学生と社会人の違いは何か?』

私は、「お金を払う側からもらう立場に変わる、仕事の拘束時間がある」といった回答をしたと記憶しています。それに対し社長は、「確かにそれもあるが、一番大きいのは社会に貢献すること、その対価としてお金をもらっている」と仰いました。


2012年3月21日水曜日

研究者の仕事:大学教員は自由人

皆さん、大学教員の勤務形態をご存知でしょうか?
大学の先生って、いつも何しているんだろうと思ったことはありませんか?


<大学教員の勤務形態>
大学教員は、基本的に裁量労働制です。授業と会議以外は本当に自由で、どこで何をしていてもOKです。フレックスタイムもありません。例えば、午前中に私用を済ませてから大学に来たり、午後からどこかに出掛けたり、あるいは早めに帰宅してもよいのです。すべて自分の判断で行動します。
※その一方、土日にオープンキャンパスや入試などの行事で駆り出されることも多いです。

さらに、着任して一番驚いたのは、「休暇は事後報告でよい」でした。私の大学では、月初めに前月分の出勤簿を提出することになっています。その際、出勤日とともに休暇日があれば、あわせて報告します。ちなみに、他大学から来た先生に聞くと、出勤簿そのものがない大学もあるようです。忙しく飛び回っている先生にとっては、出勤状況を管理することも大変なのだそうです。

<自由と責任>
ここまで聞くと、大学教員って自由でいいな、あるいは適当だなと思う方もいるかも知れません。しかし、時間的拘束が少なく自由な反面、自らの活動には責任が伴います。つまり、その自由な時間を使って研究業績が出なければ、昇進できない、場合によっては職を失うことになりかねません。

教授や准教授などは、パーマネント(任期なし)であることが多いのですが、私のような助教の場合、3年から5年程度の任期で契約しています。その間に業績が出なければ、テニュア制度があっても再任できず、他大学での採用も難しくなります。

与えられた時間をどう使うかは、すべて自分の自由であると同時に責任でもあるのです。

<大学教員は自由人>
こういった環境のせいか、私を含め大学教員には『自由人』だなと思う方が多い気がします。特に、任期付きの若手研究者より、テニュアを持つ准教授以上の先生方に多い気がします。

さらに、普段の研究も自由にテーマを設定できるため、本当に研究が『趣味』のようなものです。私自身も研究が趣味、趣味が研究みたいな感じで、半分趣味でやっている部分もありますね。そういうこともあり、あまり人のことは言えませんが、大学には少し変わった人も多い気がします。特に、ずっと大学にいて一般の会社に就職したことのない先生と一般の方では、少し違うなと感じる部分があります。それは、時間に対するコスト意識の違いです。
※あくまでも、ごく一部の方です。

大学の先生は、別にお金を儲ける必要もなく、時間で働いている訳でもないので、自分の時間にどれくらいのコストが掛かっているかは、あまり意識していない場合があります。これが他人のコストも関わってくると少々やっかいで、会議で時間どおりに集まらない、議論がまとまらず会議が長くなる、などの弊害が発生する可能性があります。参加者が自由人ばかりだと、会議の議長は本当に大変だなと思います。

一方、自由人のよい面として、好きなことをやっているので比較的ストレスは少ない方だと思います。そのため、休日でも研究しているという方も多くいます。むしろ、休日の方が日頃の雑事から解放され、研究に集中できる時間を確保できます。それがよいのか分かりませんが、大学の先生には長生きされる方が多いように思います。

私も自由人を目指しつつ、一定の節度を持って活動していきたいですね。

2012年3月6日火曜日

研究者の仕事:論文を書くということ

私の職業は大学教員です。大学教員の主な仕事は、「教育」と「研究」です。教育には、講義を行うだけでなく、ゼミや研究を通じて学生を指導し、社会に貢献できる人材を育成するという目的があります(偉そうなことをいっていますが、私もまだまだ勉強中です)。自分自身の生き方を自らの行動で示していければよいと考えています。


<研究機関としての大学>
一方、大学は研究機関でもあるので、研究成果を上げる必要があります。一般にはあまり知られていないかも知れませんが、大学は教育半分、研究半分であるため、授業と会議以外の時間は、各教員の裁量で研究活動を含む自由な活動に充てることができます。そこで大学教員の受け持つ授業のコマ数を調べてみると、平均で週5コマ(1コマ90分)のようです。私の場合、週8コマ(12時間)で週の3分の1が授業となりますので、平均よりは幾分多いですね。

この授業や会議以外の自由な時間を使って研究を行い、学会発表や論文執筆を行う必要があります。大学教員は発表した論文数とその内容によって評価され、業績に応じて昇進(助教→准教授→教授など)する仕組みです。そこで今回は、論文を書くことについて説明します。

<論文の3要素:新規性・有効性・信頼性>
論文を書くには、『新規性』『有効性』『信頼性』の3要素が必要不可欠です。詳細は、「科学技術論文の書き方」を参照して頂くとして、ここでは簡単に紹介します。

新規性:新しい技術や知見など、世の中で誰も明らかにしていないこと
有効性:提案内容が従来のものと比較して優れていること
信頼性:実験結果や得られた知見の根拠が信頼できるものであること

上記3要素を満たすべく執筆した論文は、学会に投稿すると有識者によって査読され、それらすべてが満たされていると判断されれば、論文誌に掲載されることになります。論文の投稿後、査読を受け掲載されるまでには、半年~1年ほど時間が掛かるため、非常に時間の掛かる大仕事といえます。

<ソーシャルメディアで得られた知見を発信>
ここからは、私の研究に関する話です。現在、私はソーシャルメディアを使って得られた経験、知見などを積極的に発信・公開しているつもりです。その理由は、自分の持っている情報を公開し、より多くの人に知ってもらうことで、その情報が皆さんのお役に立てばよいと考えるためです。一方、これまで私が行ってきた技術の新しさを求める研究であれば、得られた知見を公開することで公知の事実となってしまい、そこに研究としての新しさはなくなってしまいます。

しかしながら、ここで私が得た知見というのは、世の中で知る人はそれほど多くないものの、確実に知る人はいると思われる情報です(書籍、講演資料などで発表もされているものもあります)。

私の研究の本質は、これらの知見を発信していくことで、人々(特に学生)の意識や行動がどのように変化したかを評価することにあります。したがって、こうやってブログを書くことも研究の一環ですし、これらの情報を公開しても研究の新規性がなくなる訳ではないと考えています。

それでは、ご意見、コメントなどありましたら、よろしくお願いいたします。