2019年5月29日水曜日

2019年の自己分析:研究活動と家庭生活のバランスを大切に

ご挨拶と喜ばしい出来事

皆さま、ご無沙汰しています。

毎年恒例の誕生日の自己分析です。今年で38歳になりました。自分を生み育ててくれた両親、家族、これまで関わってくださった皆さまに感謝しています。

図1.2018年8月27日,石川旅行での工芸体験

職場の大学の中では若手ではありますが(科研費も39歳以下は若手研究で申請可)、学位を取ってちょうど10年が経ちましたし、大学教員もすでに9年目となりましたので、自分のやるべきことを進めつつ、周りに対しても影響力を発揮しなければと思っている次第です。

着任当初から続けているこの自己分析も今年で9回目となりました。振り返りと目標設定、継続することはとても大切なのでこれからも続けたいと思っています。毎年の期首(誕生日)に掲げた目標を期末に振り返りますが、残念ながら毎回達成度はあまり高くありません。

ただ、今年は喜ばしい出来事があったので、それについて報告した上で自己分析を行うことにします。まず1つ目は、文科省の科学研究費補助金(科研費)に初めて採択されたことです。9年目の挑戦でようやく認められたことを嬉しく思います。次に2つ目は、奥さんが妊娠中で9月に子供が生まれる予定だということです。9年目で待望の子です。妊娠中の奥さんは何かと大変だと思いますが、無事に生まれることを祈るばかりです。

科研費のテーマ紹介ときっかけとなった出来事

今回の科研費では、「主体的な学修課題の選択を促進する子ども向け学修支援システム」のテーマで子ども達の未来を拓く研究となることを目指し、今後4年間の研究計画を立案しました。私の研究活動フィールドである地域活動やプログラミング教室にて、子ども達の学修活動データを収集・分析し、子ども達の志向・興味関心を見つけたり、オススメの課題を推薦したりできるシステムを構想しています(図2)。図2では、これまで携わってきたプログラミング教室や地域活動(IT大学こどものまち)での学修活動自体をログとして蓄積し、主体的な学修効果を生み出すことを目的とした学修支援システムを開発します。

図2.子ども向け学修支援システムの全体像

毎年、科研費の申請書は10月下旬に提出しているのですが、今回はテーマも思い付かないので当初は申請自体を断念するつもりでいました。他大学の先生が申請された計画書に分担で入れてもらったのでそれでいいかなとも思っていました。そう考えて半ば諦めかけていたとき、奥さんから
「本当に出さなくていいのか?」
「今やっている活動をすべて書き出してみよ」
「そこから何ができるか考えよ」
と言われ、言われるがままに書き出してみました。そうすると、今まで自分自身では「何のためにこの活動をしているのだろう?」と疑問に思いつつも、漠然と続けていたすべての活動に対して、それらの意義を見い出すことができました。今回採択されたのは、結果的にそのことが評価されたことに加え、まだ実績はないものの審査員の方々からの「やってみなさい」という激励ではないかと思っています。

すべての活動は、子ども達の将来のため、そして我々人類の未来のための種蒔きであることが自分自身で得心が行きました。

2019年のバリュー、ミッション、ストラテジー

以上を踏まえ、2019年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. すべての活動の突端が子ども達の未来に集約されるよう研究を推進すること
    2. 主体的な家庭生活を送るために自身の役割を果たすこと
  • ストラテジー
    1. プログラミング教室や地域活動を通じて子ども達の学修活動データの収集・分析に専念すること
    2. ゲーミフィケーション × AI × ラーニングをキーワードに研究を進め、論文を書くこと
    3. ゼミでの教育は研究指導を主軸に実践すること
    4. 家庭生活の中で自身がやるべきことを考え行動すること
    5. 可能な範囲で朝活動へのシフトにトライすること
    6. 家族とのコミュニケーションを大切にすること
バリューは変わりませんが、ミッション、ストラテジーともに昨年から一新しました。やるべきことに集中するため、ミッションを3つから2つに減らしたことも大きな変化です。では、ミッションとそれに付随するストラテジーについて、私の考えを以下に述べます。

ミッション1:子ども達の未来のために

ミッション1、およびストラテジー1~3は、教育研究活動を中心とする仕事面に関する目標です。科研費で示した計画に従って、着々と研究の準備を進めています。研究初年度の今年は、各種活動での学修活動データを収集するために、子どもの発達段階に応じた質問項目を決定し、データ収集・分析を行う予定です。実は、研究の進め方や準備について考える際には、自分が書いた科研費申請書をもう一度読み返すことにしています。読み返す度に、なるほどなるほど!と思ったり、よく書けた文章だなと思ったりします(自画自賛)。学生にもこの申請書を読ませてレポートを課していますが、私くらい熱心に読み込んでくれる学生がいると嬉しいですね。

河野ゼミでは、今年から「ゲーミフィケーション × AI × ラーニング」を研究キーワードとして、各種活動を進めることにしました(図3)。ゲーミフィケーションとは、現実世界の課題をゲーム化し、解決する手法のことです。私達が開発するシステムは、人の主体性を拓くもの、他者と目標を共有し切磋琢磨を促すものが中心となるため、利用者のモチベーション維持や成長の可視化などが課題となります。それらの課題を支える仕掛けとしてゲーミフィケーションの考え方が活用できると期待しています。

図3.河野ゼミの教育・研究方針2019

これまで、ゼミの学生に対する指導については、如何にしてプログラミングの素養を身に付けさせるか、毎日ゼミ室に来させるか、論理的な文章を書けるようにするか、などに注力して指導を心掛けてきました。この方法だと、指導側の時間ばかり掛かるだけでなく、肝心の研究内容に関する指導が疎かになってしまいます。今後は、研究指導を主軸とした教育を実践することで、研究活動の進展に加え、学生達の主体性や研究に向き合う姿勢などが醸成されることを期待しています(図4)。

図4.研究指導を主軸としたスケジュール

ミッション2:主体的な家庭生活のために

ミッション2、およびストラテジー4~6は、家庭生活に関する目標です。子供が生まれることもあり、これまでよりも主体的な家庭生活を送るために自分自身の役割を果たす必要があります。妊娠中の奥さんの様子を窺うと、日によって体調に大きな波があったり、長時間立っていることができず休み休みであったり、前学期中は続けている仕事がつらそうだったりと、その日毎にサポートしたほうがよいことに変化があります。毎日の洗い物や料理(ごくたまにですが)、ごみ捨て、掃除、買い出しなどの家事の他、妊婦健診の付き添い、パパ・ママ教室の参加など、家庭生活や出産準備に向けて必要と思うことを考えて、できる限りやるようにはしています。

特に出産準備に関しては、父親側は身体の変化もないことから、父性の意識変化がなかなか見られないとも聞くので、妊婦健診を一緒に受けて赤ちゃんの様子を知ることはとても大切なことだと感じました。パパ・ママ教室で学んだことを踏まえ、出産直後は奥さんの身体が思うように動かないはずなので、少しだけ仕事の休みをもらって、生活のサポートをしたいと考えています。仕事柄、育休取得は難しいと考えているのですが、少なくとも職場の規定で定められている範囲での休暇は取得するつもりです。授業を共同で担当する先生方には、事前に状況をお伝えして協力していただけるようお願いしたいと思います。また、ゼミは学生主体で進められるよう指導しておきます。

生活リズムに関して、ここ最近は特にこの傾向が顕著なのですが、夜中に仕事や他のことをして本当に寝るのが深夜または未明になってしまっており、このままでは健康が損なわれる恐れがあります。どの道、お酒を飲んだ後は頭が使い物にならないはずなので、そういう日は早く寝てしまって、早朝にやることをしたほうが効率がよいのでは?と知人からの指摘を受け自分でもそう感じています。論文執筆とか趣味のゲームとか、本当にやりたいことを朝一に持ってきて、朝活動にトライしたいと考えています。

最後に、今は妊娠中の奥さんと今まさに頑張って生まれてこようとしている私達の子供、子供が生まれてからは家族3人でのコミュニケーションを本当に大切にしたいと思っています。家族とのコミュニケーションは、生まれてくる子供の健全な成長に不可欠ですし、ここでのコミュニケーションなくして、ほかでのコミュニケーションがうまくいくはずがありません。7つの習慣で説かれる「まず理解に徹し、そして理解される」は、コミュニケーションの基本であり極意です。この習慣は、スティーブン・コヴィー博士が最も実践が難しい習慣だと言っていましたし、私もそう感じています。家族とは、最も身近にいる他者であり、本当にその人のことを理解するのは真に難しい課題と思いますが、人生において最も重要な課題の1つであるようにも思います。

以上が2019年の自己分析です。研究活動と家庭生活のバランスを大切にしたいと思っています。上記のバリュー、ミッション、ストラテジーに基づき、「穏やかに楽しく生きる」を実践したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

以下にこれまでの自己分析を示します。

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

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