2023年1月3日火曜日

河野流:大学院進学のススメ

ご挨拶 

皆さん、こんにちは。東京情報大学の河野です。前回から1年半振りの更新となってしまいました。

大学では、4年生は卒業論文の追い込み、3年生は就職活動が始まる時期です。今年は河野ゼミ発足12年目で最初の大学院生3名がいよいよ修士論文をまとめようとしています。また、4年生のうち2名は大学院進学を予定しており、研究活動の進展を期待しているところです。

思えば、現在の修士2年の3名が進学しようか考えていたとき、10年振りくらいにネットワークゲームの研究を再開しようとしていました。「このテーマだと大学院でじっくりと3年計画で進めるのがよい」と話したことで、3名とも進学を決めたと記憶しています。

この時期に思うのは、「この学生は進学するといいのに。このまま卒業するのはもったいない」という学生が毎年必ず1人はいることです。本格的に卒論に着手して半年程が経った大学4年の12月頃に、研究の基本が身に付いてきてようやく使える人材になってくる印象です。そのまま就職してもある程度は活躍できるでしょうが、あと2年あればもっと成果が出るだろうにもったいないと思うことが多いです。そこで今回の記事では、大学院進学のススメをテーマにお話しします。


大学院とは?

大学院とは、学部卒業後さらに学問を究めるための研究を中心とした高等教育機関です。大学院でも単位修得のために授業はありますが、学会発表や論文投稿、学部生の指導などの研究活動が中心で、修士課程は2年、博士課程はさらに3年の研究期間で最終的に修士論文、博士論文をまとめます。

この記事の読者が大学院進学を少しでも検討している学生の皆さん社会人で学位取得を目指している方、あるいは既に大学院を修了されて活躍している方と想定して話を進めます。最終的に進路を決めるのはあなた自身ですが、様々な情報を得た上で選択肢の一つとして進学を検討するのと、限られた情報の中で進学が選択肢から除外されるのとでは、進路選択の結果や数年後の納得感に違いが生じると思います。その積み重ねの結果によって、10年後、20年後の未来は随分と違ったものになるでしょう。

もしあなたが大学院進学を少しでも検討しているならば、ぜひ進学した先輩や大学の先生、大学院を修了した社会人の方に話を聞いてみてください。身近な友人や先輩、ご両親、大学のOB・OGなどの話も参考になる部分はあると思いますが、大学院の仕組みや研究生活を知らない方に聞いても、そのメリットを理解することは難しいと思います。

そもそも大学院に進学するメリットとは何でしょうか?あるいは、私を含め大学教員がなぜ口を揃えて優秀な学生には大学院進学を勧めるのでしょうか?

2021年6月6日日曜日

2021年の自己分析:研究のアウトプットを意識する

ご挨拶

皆さん、こんにちは。今年で無事に40歳になりました。

昨年の誕生日に更新すると言っておきながら更新できず、2年ぶりの更新となってしまいました。子供が生まれてからは毎日の過ごし方が一変し、時間を取ること自体が難しくなりました。特に生後半年くらいは、子育ての合間に仕事をしているような感じでした。

2021.6.6 由香と莉陽斗(1歳8ヶ月)と一緒に

これまでの振り返り1(社会に出るまでの幼少期~20代前半)

40歳となったことを機に、これまでの人生をざっくりと振り返ってみます。思い返すと、20代までは研鑽の時期、30代は地盤作りの時期でした。これからの40代は、研究アウトプットの時期となるよう精進します。

小学校から高校卒業までは、勉強(主に数学と読書)、ゲームや漫画などの遊び(ドラクエやジャンプ系の漫画が好きだった)、学校の友人関係(女子とはほとんど話もできなかったけど)、兄弟げんかで毎日のように親に叱られたことなどをよく覚えています。何をするにしても、なぜだろうとか、どうなっているのかなど、よく考えていたように思います。

その後、将来はゲームプログラマーになりたいと思い(ゲームプログラマー自体は中3からの夢で、中1の頃は科学者、中2では弁護士に憧れていました)、茨城大学の情報工学科に入学しました。大学では、毎日のようにプログラミングと山のようなレポート、数学の演習、試練の口頭試問があったことをよく覚えています。この時期に、基本的なプログラミングの考え方の他、技術文書の書き方、最後まで諦めずに課題に取り組む根性など、今日に至るまでの基礎が身に付いたのだと思います。

研究室配属後は、興味のある研究テーマ(ネットワークゲームにおけるリアルタイム性の課題)であったことや先生や先輩の指導が自分の性に合っていたのか、修士卒までの3年間は毎年3件ほどの学会発表(うち1件は国際会議)、1編の論文投稿など、精力的に研究活動に取り組んでいました。

これまでの振り返り2(大学教員になるまでの20代後半)

修士を出てからは、都内の企業に就職すると同時に、博士課程にも進学して、仕事と研究活動の両立を目指しました。週4日で都内勤務、1日は会社から休みをいただいて大学で研究するという生活を3年間送りました。就職先は、ネットワーク分野の研究開発を推進する企業で、IPv6の経路制御アプリ、IPv6啓蒙サイトの開発・運用、安心安全なメッセージングプラットフォームの開発などに関わりました。その他、会社の先輩に同行してカリフォルニアで開催されたIETF(インターネット上のプロトコルを議論する国際会議)に参加したり、大学時代の研究成果を自動車の衝突回避に応用できないかとパロアルトにある自動車メーカーの研究所に提案に行ったりもしました。技術的な面だけでなく、精神的な面でも現在の仕事にもつながる経験になったと思います。

博士3年のときには、いろいろと会社には無理も言ってお休みをいただき、何とか3年間で博士号を取得することができました。その後、4年間勤めた会社を退職してからは、大学でポスドクをしながら大学教員の公募にアプライしていました。運良く今の大学に採用してもらったので、そこから大学教員としての生活が始まりました。

これまでの振り返り3(大学教員として過ごした30代)

2011年に東京情報大学情報システム学科の助教として採用され、今年で10年が経過しました。10年間で2度の改組があり、現在は総合情報学科情報システム学系ゲーム・アプリケーション研究室の所属です。リアルタイムサイバーフィジカルシステムをテーマに、主体的な学修課題の選択を促す子ども向け学修支援システムリアルタムWebゲームのデザイン基盤の研究を進めています。

情報大着任後は、まずは人脈作りから始めました。Twitterを使って興味のあった勉強会に参加したことをきかっけに、自身でも勉強会で講師を担当させてもらったり、知り合った方々が大学に来てゼミでお話してもらったり、学会での講演をお願いしたり、プライベートでも交流があったりと、10年経った今でも交流は続いているので、とてもよい機会であったと思います。

また、TwitterやFacebookなどで情報発信を続けるうちに、地域活動に取り組んでおられる方々の目に止まったことがきっかけで、千葉市花見川区の魅力発信プロジェクト「花見川どっとcom!」や同市若葉区の「わかばCBT こどものまち」、四街道市の「四街道こどものまちづくりプロジェクト」に関わったりと、ゼミの学生も巻き込んで関わる大事なつながりとなっています。当初は活動中心で稼働の割になかなか研究の成果につながらなかったのが悩みの種でしたが、活動と研究を結び付ける計画を創り上げることができ、「主体的な学修課題の選択を促進する子ども向け学修支援システム」のテーマで科研費を得て研究を進めることができるようになりました。これまではほとんど論文実績がありませんでしたが、少しずつ論文が書けるようになってきたので、着実に成果を積み上げていきたいと思っています。

2021年のバリュー、ミッション、ストラテジー

以上を踏まえ、2021年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。

  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. 計画的に研究を進めて論文実績を積むこと
    2. 家族が健やかに過ごせること
  • ストラテジー
    1. 論文を書く習慣を作ること
    2. プログラミングをする習慣を作ること
    3. 研究指導を主軸としたゼミ運営を実践すること
    4. 子育てを楽しむこと
    5. コロナ禍にあっても家族で経験できることを大事にすること
    6. 家族とのコミュニケーションを大切にすること
    7. チャレンジする気持ちを忘れないこと

バリューは同じですが、ミッション、ストラテジーともに前回からずいぶんと変更しました。仕事関係はよりシンプルにして、研究成果を最優先とするようにしました。家庭面では、今しか経験できないことを大事にして、皆が健やかに過ごせるように、自分自身でできることを模索したいと思います。7つ目のストラテジーは、すべての活動に関係するもので、チャレンジ精神を大切にしたいと思います。

参考までに、これまでの自己分析を示します。それでは次回もよろしくお願いいたします。

2019年の自己分析:研究活動と家庭生活のバランスを大切に

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

「穏やかに楽しく生きる」研究者のブログ開設

2019年5月29日水曜日

2019年の自己分析:研究活動と家庭生活のバランスを大切に

ご挨拶と喜ばしい出来事

皆さま、ご無沙汰しています。

毎年恒例の誕生日の自己分析です。今年で38歳になりました。自分を生み育ててくれた両親、家族、これまで関わってくださった皆さまに感謝しています。

図1.2018年8月27日,石川旅行での工芸体験

職場の大学の中では若手ではありますが(科研費も39歳以下は若手研究で申請可)、学位を取ってちょうど10年が経ちましたし、大学教員もすでに9年目となりましたので、自分のやるべきことを進めつつ、周りに対しても影響力を発揮しなければと思っている次第です。

着任当初から続けているこの自己分析も今年で9回目となりました。振り返りと目標設定、継続することはとても大切なのでこれからも続けたいと思っています。毎年の期首(誕生日)に掲げた目標を期末に振り返りますが、残念ながら毎回達成度はあまり高くありません。

ただ、今年は喜ばしい出来事があったので、それについて報告した上で自己分析を行うことにします。まず1つ目は、文科省の科学研究費補助金(科研費)に初めて採択されたことです。9年目の挑戦でようやく認められたことを嬉しく思います。次に2つ目は、奥さんが妊娠中で9月に子供が生まれる予定だということです。9年目で待望の子です。妊娠中の奥さんは何かと大変だと思いますが、無事に生まれることを祈るばかりです。

科研費のテーマ紹介ときっかけとなった出来事

今回の科研費では、「主体的な学修課題の選択を促進する子ども向け学修支援システム」のテーマで子ども達の未来を拓く研究となることを目指し、今後4年間の研究計画を立案しました。私の研究活動フィールドである地域活動やプログラミング教室にて、子ども達の学修活動データを収集・分析し、子ども達の志向・興味関心を見つけたり、オススメの課題を推薦したりできるシステムを構想しています(図2)。図2では、これまで携わってきたプログラミング教室や地域活動(IT大学こどものまち)での学修活動自体をログとして蓄積し、主体的な学修効果を生み出すことを目的とした学修支援システムを開発します。

図2.子ども向け学修支援システムの全体像

毎年、科研費の申請書は10月下旬に提出しているのですが、今回はテーマも思い付かないので当初は申請自体を断念するつもりでいました。他大学の先生が申請された計画書に分担で入れてもらったのでそれでいいかなとも思っていました。そう考えて半ば諦めかけていたとき、奥さんから
「本当に出さなくていいのか?」
「今やっている活動をすべて書き出してみよ」
「そこから何ができるか考えよ」
と言われ、言われるがままに書き出してみました。そうすると、今まで自分自身では「何のためにこの活動をしているのだろう?」と疑問に思いつつも、漠然と続けていたすべての活動に対して、それらの意義を見い出すことができました。今回採択されたのは、結果的にそのことが評価されたことに加え、まだ実績はないものの審査員の方々からの「やってみなさい」という激励ではないかと思っています。

すべての活動は、子ども達の将来のため、そして我々人類の未来のための種蒔きであることが自分自身で得心が行きました。

2019年のバリュー、ミッション、ストラテジー

以上を踏まえ、2019年のバリュー、ミッション、ストラテジーを掲げます。
  • バリュー
    • 穏やかに楽しく生きること
  • ミッション
    1. すべての活動の突端が子ども達の未来に集約されるよう研究を推進すること
    2. 主体的な家庭生活を送るために自身の役割を果たすこと
  • ストラテジー
    1. プログラミング教室や地域活動を通じて子ども達の学修活動データの収集・分析に専念すること
    2. ゲーミフィケーション × AI × ラーニングをキーワードに研究を進め、論文を書くこと
    3. ゼミでの教育は研究指導を主軸に実践すること
    4. 家庭生活の中で自身がやるべきことを考え行動すること
    5. 可能な範囲で朝活動へのシフトにトライすること
    6. 家族とのコミュニケーションを大切にすること
バリューは変わりませんが、ミッション、ストラテジーともに昨年から一新しました。やるべきことに集中するため、ミッションを3つから2つに減らしたことも大きな変化です。では、ミッションとそれに付随するストラテジーについて、私の考えを以下に述べます。

ミッション1:子ども達の未来のために

ミッション1、およびストラテジー1~3は、教育研究活動を中心とする仕事面に関する目標です。科研費で示した計画に従って、着々と研究の準備を進めています。研究初年度の今年は、各種活動での学修活動データを収集するために、子どもの発達段階に応じた質問項目を決定し、データ収集・分析を行う予定です。実は、研究の進め方や準備について考える際には、自分が書いた科研費申請書をもう一度読み返すことにしています。読み返す度に、なるほどなるほど!と思ったり、よく書けた文章だなと思ったりします(自画自賛)。学生にもこの申請書を読ませてレポートを課していますが、私くらい熱心に読み込んでくれる学生がいると嬉しいですね。

河野ゼミでは、今年から「ゲーミフィケーション × AI × ラーニング」を研究キーワードとして、各種活動を進めることにしました(図3)。ゲーミフィケーションとは、現実世界の課題をゲーム化し、解決する手法のことです。私達が開発するシステムは、人の主体性を拓くもの、他者と目標を共有し切磋琢磨を促すものが中心となるため、利用者のモチベーション維持や成長の可視化などが課題となります。それらの課題を支える仕掛けとしてゲーミフィケーションの考え方が活用できると期待しています。

図3.河野ゼミの教育・研究方針2019

これまで、ゼミの学生に対する指導については、如何にしてプログラミングの素養を身に付けさせるか、毎日ゼミ室に来させるか、論理的な文章を書けるようにするか、などに注力して指導を心掛けてきました。この方法だと、指導側の時間ばかり掛かるだけでなく、肝心の研究内容に関する指導が疎かになってしまいます。今後は、研究指導を主軸とした教育を実践することで、研究活動の進展に加え、学生達の主体性や研究に向き合う姿勢などが醸成されることを期待しています(図4)。

図4.研究指導を主軸としたスケジュール

ミッション2:主体的な家庭生活のために

ミッション2、およびストラテジー4~6は、家庭生活に関する目標です。子供が生まれることもあり、これまでよりも主体的な家庭生活を送るために自分自身の役割を果たす必要があります。妊娠中の奥さんの様子を窺うと、日によって体調に大きな波があったり、長時間立っていることができず休み休みであったり、前学期中は続けている仕事がつらそうだったりと、その日毎にサポートしたほうがよいことに変化があります。毎日の洗い物や料理(ごくたまにですが)、ごみ捨て、掃除、買い出しなどの家事の他、妊婦健診の付き添い、パパ・ママ教室の参加など、家庭生活や出産準備に向けて必要と思うことを考えて、できる限りやるようにはしています。

特に出産準備に関しては、父親側は身体の変化もないことから、父性の意識変化がなかなか見られないとも聞くので、妊婦健診を一緒に受けて赤ちゃんの様子を知ることはとても大切なことだと感じました。パパ・ママ教室で学んだことを踏まえ、出産直後は奥さんの身体が思うように動かないはずなので、少しだけ仕事の休みをもらって、生活のサポートをしたいと考えています。仕事柄、育休取得は難しいと考えているのですが、少なくとも職場の規定で定められている範囲での休暇は取得するつもりです。授業を共同で担当する先生方には、事前に状況をお伝えして協力していただけるようお願いしたいと思います。また、ゼミは学生主体で進められるよう指導しておきます。

生活リズムに関して、ここ最近は特にこの傾向が顕著なのですが、夜中に仕事や他のことをして本当に寝るのが深夜または未明になってしまっており、このままでは健康が損なわれる恐れがあります。どの道、お酒を飲んだ後は頭が使い物にならないはずなので、そういう日は早く寝てしまって、早朝にやることをしたほうが効率がよいのでは?と知人からの指摘を受け自分でもそう感じています。論文執筆とか趣味のゲームとか、本当にやりたいことを朝一に持ってきて、朝活動にトライしたいと考えています。

最後に、今は妊娠中の奥さんと今まさに頑張って生まれてこようとしている私達の子供、子供が生まれてからは家族3人でのコミュニケーションを本当に大切にしたいと思っています。家族とのコミュニケーションは、生まれてくる子供の健全な成長に不可欠ですし、ここでのコミュニケーションなくして、ほかでのコミュニケーションがうまくいくはずがありません。7つの習慣で説かれる「まず理解に徹し、そして理解される」は、コミュニケーションの基本であり極意です。この習慣は、スティーブン・コヴィー博士が最も実践が難しい習慣だと言っていましたし、私もそう感じています。家族とは、最も身近にいる他者であり、本当にその人のことを理解するのは真に難しい課題と思いますが、人生において最も重要な課題の1つであるようにも思います。

以上が2019年の自己分析です。研究活動と家庭生活のバランスを大切にしたいと思っています。上記のバリュー、ミッション、ストラテジーに基づき、「穏やかに楽しく生きる」を実践したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

以下にこれまでの自己分析を示します。

2018年の自己分析:権限委譲に集中する

2017年の自己分析:自分にしかできないことをやる

2016年の自己分析:自分の軸を大切にする

2015年の自己分析:今年のテーマは刃を研ぐ

2014年の自己分析:今年のテーマは重要事項を優先する

2013年の自己分析:今年のテーマはモチベーション

2012年の自己分析(誕生日を迎えて)

「穏やかに楽しく生きる」研究者のブログ開設


2018年12月3日月曜日

7つの習慣 ソーシャル輪読会:最終回のテーマは「刃を研ぐ」

皆さん、こんにちは。朝晩が随分と冷え込むようになり、もうそこまで冬が来ている実感がありますね。

さて、この時期の大学では卒論が佳境に入り、卒論中間発表卒論初稿の提出&レビューを実施していますが、まだシステム開発が終わっていない学生も多いようです。一方、3年生は卒論テーマ決定のための卒論計画発表卒論序論の執筆就職活動の開始と自らの道を切り拓くため、進むべき方向を定めて歩み始めなければなりません。

1.7の習慣 ソーシャル輪読会

このようなターニングポイントとなる時期に差し掛かる中、徳本昌大さんのご講演をきかっけに7月の計画・準備を経て、8月から開始した「7つの習慣 ソーシャル輪読会」に3・4年生5名のゼミ生が参加してくれました(図1)。全8回4ヶ月に及ぶ輪読会も、いよいよ今回で最終回を迎える運びとなりました。最後まで付いてきてくれたゼミ生5名、きっかけをくださった徳本さん、輪読会にてコメントをくださった岡さん、そして毎回質の高い記事を書いてくださった坂本さんに感謝いたします。ありがとうございました!

ソーシャル輪読会最終回(12/6開催予定)は、私も含め第7の習慣「刃を研ぐ」についてブログを書き、みんなで集まってディスカッションすることにしました。

図1.ソーシャル輪読会の様子 ※ 静止画なのでクリックしても再生しません。

2.第7の習慣「刃を研ぐ」とは?

7つの習慣』とは、人生の長期的な視点を見据え、人が主体性を発揮するための道標となる考え方としてスティーブン・コヴィー氏が提唱した人生哲学です。7つの習慣では、人が依存から自立することを「私的成功」、自立した人同士が相互依存することを「公的成功」とよび、それぞれ第1~3の習慣、第4~6の習慣を身に付ける必要があるとされています。

最後の第7の習慣「刃を研ぐ」は、長期的な成果を得るために、再新再生を続けて自分自身を磨くことであり、すべての活動の礎となるとされています。そのためには、以下の肉体・知性・社会情緒・精神の4つの側面をバランスよく磨く必要があります(図2)。
  • 肉体:食事や運動、睡眠、時間管理などの生活習慣全般
  • 知性:知識やスキル、考え方などの知的活動能力
  • 社会・情緒:人間関係や人脈作り、貢献などの他者との関係構築
  • 精神:価値観、人生の目的などの自分自身のあり方
これらの側面は、自分自身の強み専門性オリジナリティとなるもので、自分という個を定義するための拠り所であると言えます。アドラー心理学で言うところの「貢献感」を得るためには、他者に対して自分が貢献できる何かを絶えず磨く必要があるでしょう。
図2.刃を研ぐ4つの側面


3.これまで研いできた刃

では、私がこれまでどういった分野で刃を研いできたかを振り返りたいと思います。

  • 高校時代:数学
  • 大学(研究室配属前):数学, プログラミング, 論理的思考, 情報工学
  • 大学(研究室配属後)と大学院:オンラインゲーム設計開発, 並列分散処理, ディスカッション, 論文執筆, プレゼン
  • 会社員:チーム開発, サーバ運用, ネットワーク, データベース, Webシステム
  • 研究員:ソーシャルメディア, ソーシャルアプリ
  • 情報大:ソーシャルメディア, パーソナルブランディング, ライティング, 学生指導, キャリア教育, 7つの習慣, 主体性開発システム, ポジティブ心理学, アクティブ・ラーニング, 自律分散協調システム, プログラミング教育, 地域活動

これまで研いできた刃を見ると、前半時代は数学やプログラミング、情報工学などのエンジニアに必須とされるスキルを磨いてきました。その後、研究活動を開始してからは、自身の研究に対する意味付けやそれを実現するための活動(システム開発)、成果を論文としてまとめ学会でプレゼンするといった活動を通じて、研究遂行能力を身に付けてきました。ただし、この時点では他者との関わり方はあまり意識していなかったので、私的成功に至るまでの段階にいたと思います。

その後の後半時代になると、学生指導のウェイトが非常に大きくなったことで、いかにして自身の負担を少なくして、学生によりよい教育を提供できるかを苦心するようになりました。悩んだ末に、パーソナルブランディングキャリア教育主体性開発などの学生指導に直結しそうなテーマに取り組むようになりました。この時期は、元々の専門であったITそのものからは少し離れ、ソーシャルメディア活用や人脈作り、人生哲学、心理学などに興味を持っていた頃でした。この頃は、私的成功はある程度は身に付けつつあり、公的成功に至る道程を模索していたように思います。

その後、研究活動や学生指導に行き詰まりを感じるようになり、今後はどのような刃を研いでいくかを考えるようになりました。そのため、自身の専門となる「」を上げる必要があります。

4.これから研ぎたい刃

以上を踏まえ、これから研ぎたい刃についてお伝えします。

  • やりたい活動の朝化(肉体)
  • 子ども向け教育システム(知性)
  • 機械学習とデータベース(知性)
  • 第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」の実践(社会・情緒)
  • 第6の習慣「シナジーを創り出す」の実践(社会・情緒)
  • リベラルアーツに対する理解と研究との連携(精神)

まず肉体面からです。こういったブログもそうですが、論文執筆や研究、趣味などの自分がやりたいことを朝一に持ってくるようにしたいです。元々夜型で早起きは苦手ですが、やりたいことがあれば早く起きてやれるのではないかと目論んでいます。

知性面では、自身の専門となる研究の柱を立てます。これまで迷走していた感がありますが、今年11月に来年度の科研費獲得に向けた研究計画書をまとめたことで、ようやく自分自身がやるべき研究の方向性が見い出せました。研究テーマとする子ども向け教育システムとその学習履歴を分析するための機械学習データベースに関する知識・スキル・実行力を身に付けます。

社会・情緒面では、家族、学生、大学の同僚、学外の研究者、企業の方々との良好な関係構築を目指して相手の考えや価値観などを理解することに努めます。例えば現在は、学外の研究者との共同研究に向けて情報交換や役割分担などを相談しているところです。その中で自分が貢献できるように、自身の強みを高めるとともに、主体的に関わっていきたいと考えています。その結果、新しいシナジーが生まれることを期待しています。

最後の精神面については、自身の視野を広く持つための考え方として「リベラルアーツ」の基礎を身に付けます。現在取り組んでいる研究テーマが学際的であり、多様性を重視していることもあってリベラルアーツに興味を持ちました。リベラルアーツでは、あらゆる学問は1つの幹でつながり、それぞれの学問体系が枝や葉になっていて、すべての本質は通ずるという考え方があります。多様な価値観をもとに問題解決に向けて取り組むあたりの考え方は、国連が提唱する2030年までの持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」とも本質的な部分では似ているように思いました。今後は、「リベラルアーツの学び方 」に書かれたことを踏まえ、いくつかの教養を学びたいと思っています。

5.まとめ
今回はソーシャル輪読会の最終回にあたり、これまでの活動を振り返った上で、私自身の経験をもとに7つの習慣を再度確認しました。自分自身の棚卸しをして、次の計画を練ることは、まさしく7つの習慣における再新再生であり、自分自身のメンテナンスとしてよい機会と思います。

今回改めて実感したことですが、これまで自分がやってきた活動を無駄と言ってしまうのは簡単ですし、そう言えば少しは気も晴れるかも知れません。しかしながら、その活動に意味付けをするのはあなたにしかできません。自戒も込めて言いますが、ぜひ皆さんも自分自身の活動に意味付けをして、新しい自分を創っていってください。きっとできます!

2018年8月13日月曜日

7つの習慣 ソーシャル輪読会の開催

皆さん、こんにちは。
お盆の時期ですね。

今は茨城に帰省してこのブログを書いています。いつもなら姪っ子達と遊ぶのを楽しみにしていたのですが、今年は休みの予定が合わず会えなかったので、ここで採点作業や執筆、研究の思索などができればと思っています。日立には3日間ほどの滞在ですが、少しだけゆっくりできればと思います。

2018年8月13日, 田んぼの稲穂@日立


2018年8月13日, 義父が育てた夏野菜

徳本さんのご講演

さて、私のゼミではブロガーとしても活躍されている徳本昌大さんを大学にお招きし、ご講演いただいたことがきっかけで、「7つの習慣 ソーシャル輪読会」という企画を立ち上げることになりました。徳本さんのご講演では、「夢を叶える習慣」のテーマで徳本さんのご自身の経験も交えながら、「7つの習慣」を踏まえて学生と対話してくださいました。私のゼミでは、7つの習慣に基づいて学生の主体性を向上するためのシステム開発に取り組んでいることもあり、以下の点で共通点が多いご講演でした。徳本さん、ありがとうございました!
  • アウトプットが大切
  • そのためのインプットの質が大事
  • 7つの習慣を読むこと
  • 人脈作りも大事
  • パーソナルブランディング

2018年7月2日,徳本昌大さんのご講演@東京情報大学

ゼミをワクワクさせるためのグループ発足

徳本さんのご協力のもと、河野ゼミをワクワクさせるためのグループを立ち上げ、その活動の一環で「7つの習慣 ソーシャル輪読会」を企画しました。今回は、Facebookの「ソーシャルラーニング」グループで情報交換を行うことにしました。これを使うと、ユニット機能というもので各自のタスクを管理することができ、チームのTODOと進行状況が分かるようになります。また、ルールを決めることもできるので、チーム全体のマインドを統一できるように、私なりに考えてみました。

ソーシャルラーニンググループのユニット機能でタスク管理

今回のテーマにも関係するのですが、やはりアウトプットは大事です。学生に授業で学んだことを説明させようとすると、「何となく分かったけど、説明するのは難しい」と回答する者が多いです。この回答だと、本当はよく分かっていないのだと分かります。分かるとは「分ける」から来ており、理解するためには物事を細かく分割できる必要があります。この作業により、自分が分かることと分からないことが分けられるようになります。その意味でも自分が理解したことをアウトプットしてもらって、それについて議論するのはよい学びのプロセスと思っています。

ゼミをワクワクさせるための7つのルール

7の習慣 ソーシャル輪読会

上記活動の一環で、7つの習慣の本を8つに分割し、下記のように、担当者を決めてソーシャル輪読会を行うことにしました。ソーシャル輪読会では、当日集まることができない学生やメンターとなる社会人の方はオンラインで参加してもらうようにします。

□章の分担
・第一部 パラダイムと原則 ※ 担当は1名
・第二部 私的成功 ※ 担当は3名
 - 第1の習慣
 - 第2の習慣
 - 第3の習慣
・第三部 公的成功 ※ 担当は3名
 - 第4の習慣
 - 第5の習慣
 - 第6の習慣
・第四部 再新再生 ※ 担当は1名
 - 第7の習慣

各自、事前準備としてブログで担当箇所の内容や自身の経験談など、自分の意見を書きます。担当者以外も自分の意見としてブログを書くことを推奨しています。それらをFBグループでシェアして、参加者全員でオンラインで議論をします。

ソーシャル輪読会当日は、それをもとに担当者がプレゼンをして、メンバー全員で議論をしながら7つの習慣の理解を深めます。最後に、それを受けて各自が次のアクションアイテム(やるべきこと)を決めるという流れです。

□事前準備
・自分の担当箇所についてブログ執筆(必須)
 本の概要、自身の経験談、今後に向けてなどを書く
・自分の担当箇所でなくてもブログ執筆(推奨)
・FBグループでブログ記事をシェア→みんなでコメント(必須)

□当日の流れ
1.プレゼンターが担当箇所をプレゼン
2.メンバー全員で議論 ※オンラインで参加可
3.アクションアイテムを決める

いよいよ来週8月20日から始まりますので、どのような会になるか楽しみですね。
学び多い場となることを期待しています。